30 days to U.S.S Enterprise

7/19-スタトレ最新作公開まで、カーク(クリス・パイン)、スポック(ザカリー・クイント)関連の英語記事訳に 30days challenge

あなたは誰かに愛されている、あなたの知らないところで 「チキンとプラム」

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監督:マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー

制作:フランス・ドイツ・ベルギー

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あらすじ

天才的音楽家・ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は、愛用のバイオリンを壊されたことをきっかけに、自殺を決意。自室にこもって静かに最期の瞬間を 待つ8日間、ナセルは思い通りにならなかった人生を振り返る……。空っぽな音だと叱られた修業時代。絶大な人気を得た黄金時代。誤った結婚、怖くて愛しい 母の死。大好きなソフィア・ローレンとチキンのプラム煮。そして今も胸を引き裂くのは、イラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)との叶わなかった恋。やがて明かされる、奇跡の音色の秘密とは……。

引用元 http://movie.walkerplus.com/mv50328/

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評判が良くてずっと観たかった映画、「チキンとプラム」。

もうね、絶対観てほしい!!!!

これも、途中までは「なんてとぼけた映画なんだろう」と思っていたんですが、最後は「そんな…!」と心を大きく揺さぶられて、結果大好きな映画になりました。

主人公のナセル・アリはどうしようもないし、奥さんはヒステリックだし、子供たちは可愛いけれどちょっと残念なことがあるし、主人公は始まってすぐに自殺を決意するし、「一体この映画はなんなんだ…」というのが途中までの感想です。全体的にとてもノスタルジックです。画面は暗いし、話も暗い。そして途中途中出てくる「なんじゃこりゃ」というたくなる、奇想天外な展開。ベッドで死のうとしている主人公が見ている夢なのか?と思いたくなるくらい。ナレーションがずっと入っているんですが、そのナレーションをしていた人は途中で映画に登場します。

「お前かい!」と思わず突っ込みたくなるくらい意外な人。

 

ただ、観終わってみると、すごくすごく悲しいし、暖かい物語でした。

(軽くネタバレ?↓)

主人公は、最初の方ですぐに死を決意します。人生に絶望しているし、思い浮かぶのは暗い記憶ばかり。だけど、彼はすごく愛されているんです。ヒステリックな奥さん、娘、息子、母、弟、そしてかつての恋人、彼の見えないところで、彼はとても愛されている。だけど、最後まで、それに気づかないんです。

この映画に出てくる人はみんな不器用です。不器用だからこそ、とても大事に相手のことを思っているのに、すれ違ってしまう。それがとても悲しい。映画からはいろんなことを感じますが、この映画からは、「痛いくらいに」という言葉がぴったり。「痛いくらいに」に続く言葉は人それぞれ変わると思います。ただ、冒頭のシーンが、最後のシーンに繋がるんですが、私はそこで泣きました。もう言葉にできない。観てこの思いを感じてほしいです。

「なんで?」って何度も何度も尋ねたくなることがたくさんでてきます。どうにかならなかったのか、って。だけど、どうにもならないってわかっているからこそ、この無常を吐き出したくてこの言葉が出てくるんだと思います。

 

少し詳しく映画のあるシーンについて書いています。

観るまで詳しい内容を知りたくない人は、ここで終わってください。

主人公は、過去にお母さんが死ぬとき「私のために祈るのはやめて、死ねないじゃない」と言われます。祈るのをやめ、ベッドのそばを離れて庭に行き、母のためにバイオリン弾きます。そしてお母さんの魂は、窓から外に出てきます。

主人公も死のう死のうとベッドに横たわっているんです。でも死ねない。ナレーションが言います。「誰かが彼のために祈ってるのか?」そして、カメラが奥さん、娘が眠っているところを映していき、最後に息子の部屋に行きます。

ベッドの上で息子が祈っているんです。

誰にも見えないところで、誰かが自分のために祈ってくれている。この瞬間、人は愛されているんだと思います。

 

誰だって、誰かに大切に思われているのか不安だと思います。でも、この主人公のようにすべてが絶望に見えても、あなたのどこか知らないところであなたを思っている人がいます。

愛は絶対に伝わるものだとは思いません。メールも手紙も、直接言われた言葉だって、どこにそれが真実だという確証があるのか。結局は、受け取る側が相手を信じることでしか、目の前に差し出された愛は意味をなさないと思います。

 

だけど皆、誰かに愛されているんだと思います。

「あなたはちゃんと愛されている、たとえあなたがそれを知らなくても」

この「チキンとプラム」からは、そのことをとても感じました。

 

 

(オマケ)

途中のなんじゃこりゃと思ったシーン二つ紹介。

 

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ソクラテスの最後。何故こんなシーンが出てくるかは、映画を観て確かめて下さい。

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これはファッキンアメリカン家庭ですね。

これも何で出てくるからは映画で…。