30 days to U.S.S Enterprise

7/19-スタトレ最新作公開まで、カーク(クリス・パイン)、スポック(ザカリー・クイント)関連の英語記事訳に 30days challenge

誰も善人がいない良い話

『天使の分け前』、ココン烏丸で観てきました。

『天使の分け前』(イギリス)
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ

 

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【STORY】
スコッチウイスキーの故郷スコットランド。育った環境のせいでケンカ沙汰の絶えない若者ロビー(ポール・ブラニガン)は、恋人レオニー(シヴォーン・ライリー)と生まれてくる赤ん坊のために人生を立て直したいが、まともな職も家もない。
ま たもトラブルを起こし、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動を命じられたロビーは、現場の指導者でありウイスキー愛好家であるハリー(ジョン・ヘンショー) と、3人の仲間たち(ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ)と出会う。ハリーにウイスキーの奥深さを教わったロビーは、これ まで眠っていた“テイスティング”の才能に目覚め始める。ハリーのおかげで初めて自分に自信を持ち始めたロビーだが、レオニーと息子との平穏で安定した生 活を手に入れるためには、大きなチャンスが必要だ。ある日、オークションに100万ポンド*もする樽入りの超高級ウイスキーが出品されることを耳にしたロ ビーは、人生の大逆転を賭け、仲間たちと一世一代の大勝負に出る!
100万ポンド=約1億4,000万円(1/7時点)
『天使の分け前』http://tenshi-wakemae.jp/(公式サイトより)

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個人的にこの映画すごく好き。始めの方は 主人公も可哀そうだし、やる気のない登場人物ばっかりで「ふーん」という姿勢で観ていたんですが、主人公たちが保護観察役みたいなハリーに連れられて蒸留所に行くところからグッと面白くなる。特に、主人公のロビー(写真右から二番目)が仲間たちと共に、超高級ウィスキー「モルト・ミル」を盗みに行くところが青春映画みたい。(犯罪者が犯罪しに行ってるんだけなんだけどね…)4人のどうしようもない若者たちが窃盗を働く映画なんですが、主人公の抱えている問題もいろいろ複雑だけど、これが意外と泥沼化せずに爽やかに終わる。


※ここからかなりネタバレ

ただ、これがフィクションであることに感謝するほど、リアルな夢物語だった。ま ず、善人が一人もいない。主人公のロビーと仲間はもちろん、あきらなか善人っていません。ロビーと彼女に部屋を貸してくれようとしてた人は唯一いい人だったかな?そして、ちょくちょく出てくる登場人物がそこまで重要と扱われていないのも気になった。例えば、主人公が一度服役する原因となった事件の被害者。 主人公がコカインでラリってる時に、車をぶつけそうになったのが原因で、ぼこぼこにされて右目の視力を失って、斜視になって、もうずっと引きこもっている子 とか。その子と対話の機会があるんですが、主人公が「もう暴れないよ」と彼女に誓うだけで、特にその被害者の子とはその後何もありません。え、なんか和解 とかないの!?事件の回想シーンまであったやん!

そして、同じく主人公が今回社会奉仕をする原因となった事件の被害者で主人公の昔からの 敵。ちょくちょく絡んできますが、特に最終対決はなくフェードアウト。え、和解とかないの!?彼女も「いつまで敵同士なの?あなたと彼の子供同士まで敵同 士になるの?それでいいの?」とか和解フラグの台詞言っていたのに。


それが逆に違和感がなく、妙なリアル感を生んでいたと思う。 主人公にとって全く重要じゃないんですよね、その人たちは。そして最後、職を手にして、彼女と子供と地元を離れる主人公。見送る仲間たち。主人公は前に進んでいくんですが、仲間たちは主人公と別れたあと「飲みにいくか」と言って終わります。3人とも何も進んでない。主人公と仲間たちは最後、お互い真逆の方向に歩きだすんですが、主人公は街から出て、仲間たちは街に戻っていく。この仲間たちはこの後飲みに行って、また元の生活に逆戻りすると思います。これがよくある話なら「おれは こうするんだ」「あたしはこう」とかそれぞれに希望があるはずなんだけどまったくそれがない。

グラスゴーの若者たちが抱えている問題をリアルに描いているからこそ、まやかしの希望なんて持たせない、このような話になったのかな。主人公は結局、不良の敵とも、被害者の子とも和解せず、主人公の仲間たちは特に未来への望みも手に入れずに終わる。そして主人公も幸せに見えるんだけれど、この物語は「その後もずっと幸せに暮らましたとさ」なんて付け足せるようなおとぎ話なんかじゃなくって、このままずっと続いていくんだ、だけどそれは決していい方向とは限らずに、と感じました。

爽やかでいい話に見えるけれど、現実が随所随所に顔をのぞかしてくるから私には少し怖い映画とも思えたな。



あと、この映画を観る前日にサントリーの山崎蒸留所を見学してたから蒸留所のシーンはテンションが上がった!
関西圏の人はこれ見た後でも前でも山崎蒸留所の見学に行くと二倍楽しめると思う!

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(前方にトイレが映るという残念なカット)


この窯とか

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これとか、樽の貯蔵庫とかも一緒の風景!!

 

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そして何より最後のウィスキーの試飲!(もちろんこれ目的で行きました!)

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左から山崎10年、12年、白州の18年(だったかな?)が飲めます!
工場見学、ウィスキーの試飲、全部無料!
(一部有料のコース、有料のウィスキーの試飲もあります)

山崎の12年はチョコレートと合って美味しかったー。
蒸留所見学はサントリーのホームページから予約できます。


『天使の分け前』、是非とも山崎蒸留所見学とセットで楽しんでほしい。
ウィスキーへの興味も知識もグッと深まると思うので。

もちろん、『天使の分け前』は映画として面白いので単独でもおすすめです。
山崎蒸留所見学も、一時間ですが大満足のコースなのでおすすめです。

 

ちなみに、蒸留所見学ですが、平日朝10時の回だと人が少なかったです。ただ、11時の回だと二倍以上に増えていました。ゆっくり楽しみたいという方は早めの時間の方がいいかもしれません。